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リンパ浮腫の効果的なマッサージで予防セルフケア!

リンパ浮腫のほとんどは、がん治療の後遺症として発症します。一度発症すると治りにくく、日常生活に支障をきたします。また、手術直後に発症することもあれば、術後数十年経過してから発症することも。

しかし、早い段階から適切な予防と治療をすることで、リンパ浮腫の発症リスクを低下させ、症状の悪化を防ぐことが可能です。

今回は、リンパ浮腫の効果的なマッサージや、セルフケアの方法について紹介します。リンパ浮腫でお悩みの方は、ぜひ参考になさってください。

リンパ浮腫が起こる原因

リンパ浮腫は、リンパ液の流れが滞ることで起こります。腕や脚のむくみが生じ、悪化して歩行困難になることも。では、なぜリンパ浮腫が起こるのでしょうか。

リンパ浮腫には、原発性のリンパ浮腫と二次性のリンパ浮腫があります。それぞれ確認していきましょう。

原発性のリンパ浮腫

先天的にリンパ管やリンパ節が細かったり、流れが悪かったりすることで発症します。発症頻度は20歳未満で10万人に約1人と、大変まれな疾患です。

なぜ発症するのか明らかではなく、原因の特定が難しい場合もあります。家族性や遺伝子変異が確認された例もあるものの、突然発症するケースがほとんどです。

二次性のリンパ浮腫

リンパ浮腫患者の9割以上が、二次性のリンパ浮腫です。がん治療後に発症し、治療部位近くの腕や脚が浮腫みます。しかし、なぜがん治療後に、リンパ浮腫を発症することがあるのでしょうか。

がん治療ではがんの転移を防ぐために、がんの病巣近くのリンパ節を取り除く場合があるのです。

人間の身体にはリンパ管が張りめぐらされており、その管の節目にリンパ節が存在します。リンパ節は節目で枝分かれしており、まるで身体の中に路線図があるようです。

がん細胞は転移する際にリンパ管から入りこみ、リンパ節で増殖する場合があります。つまり、がんが転移する可能性を低くするために、病巣近くのリンパ節を切除するのです。

また、放射線治療や薬物療法でリンパ管が傷つくこともあります。リンパ節の切除やリンパ管の損傷により、リンパ液の流れが滞ります。流れが滞ることで、リンパ管に回収されなかったリンパ液が溜まり、むくみを起こすのです。

リンパ浮腫の症状

リンパ浮腫は、一度発症すると治りにくい疾患です。リンパ浮腫を発症するきっかけはさまざまで、外傷による炎症や疲れが溜まったときに起こることがあります。早期に治療を開始することで、発症後の重症化を防ぐことが可能です。

リンパ浮腫は、治療をしなければ徐々に症状が悪化します。ここでは、リンパ浮腫の早期の症状と、進行時の症状の変化について確認していきましょう。

早期の症状

次の症状は、リンパ浮腫の早期の症状の可能性があります。

  • 疲れやすい
  • 手足がだるく、重く感じる
  • 指輪や時計、靴などがきつくなる
  • 脚や腕の太さに、左右差がある
  • 身体の部分的なむくみがある
  • 静脈が見えにくい
  • 皮膚をつまんでもシワが寄りにくい

早期の症状を見逃さないためにも、浮腫みが起こりやすい場所のセルフチェックが大切です。二次性のリンパ浮腫の場合、がん治療後のむくみやすい場所は治療部位のあたりです。手術前後で、部位の太さを比較してみましょう。

また、正確なむくみを測るために、測定時間を決めておくことが大切です。上記の自覚症状を感じたり、手術前後の測定値に差があったりする場合は、リンパ浮腫専門の医師に相談してください。

進行時の症状

次に、リンパ浮腫の進行時の症状について確認しておきましょう。

  • 皮膚が乾燥しやすく、硬い
  • 毛深くなった
  • 関節が曲げにくい
  • 手足を動かすと違和感がある
  • 浮腫みが慢性化している

リンパ浮腫の症状は徐々に進行し、痛みがないことがほとんどです。しかし、症状が進行することで蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症することもあります。

蜂窩織炎は患部が赤く腫れあがり、急速に症状が悪化します。蜂窩織炎を起こすとリンパ管が損傷し、リンパ浮腫の悪化につながりかねません。

リンパ浮腫のことを知り、適切な治療とセルフケアを行いましょう。次に、リンパ浮腫の効果的なマッサージについて紹介します。

リンパ浮腫の効果的なマッサージ

リンパ浮腫治療のひとつである用手的リンパドレナージは、専門資格をもつ医療従事者によって行われます。腕や脚に溜まったリンパ液を、正常に機能しているリンパ節へ戻すことができます。

また、用手的リンパドレナージ以外には、圧迫療法もあります。これらは専門医療機関での指導が必要ですが、自宅でもリンパ浮腫に効果的なマッサージが可能です。ご自身で毎日マッサージすることで、浮腫みの変化にも気づきやすくなります。

上肢のマッサージ

上肢のリンパ浮腫は、乳がんで脇の下のリンパ節を切除した際に起こりやすくなります。腕から手の先まで浮腫み、腕のだるさや疲れが特徴です。浮腫みや腕のだるさを感じたら、ぜひマッサージを試してみてください。

準備体操

まずはマッサージをする前に、軽い準備体操から始めましょう。

  1. 肩回し(10回)
    鎖骨が動くことを意識して、両腕を前から後ろに大きく回します。
  2. 腹式呼吸(5回)
    下腹部に手を添え、口からゆっくりと息を吐きだします。息を吐きだすときに、お腹をへこませることを意識してください。次に、ゆっくりと息を吸い込み、お腹を膨らませます。

上肢のマッサージ

では、上肢のマッサージ方法を紹介します。

  1. 手術をしていない側の脇の下に手を当て、円を描くようにクルクルと回します。(20回)
  2. 手術した側の肩から鎖骨下の前胸部を通り、手術していない側の脇の下までを軽くさすります。(10回)
  3. 手術した側の肩に手を当て、包むように軽くさすります。(5~10回)
  4. 手術した側の二の腕を、肘から肩に向かって軽くさすります。二の腕の外側と内側、後ろ側も行います。(各5~10回)
  5. 手術した側の前腕を、手首から肘に向かって軽くさすります。前腕の前面だけではなく、後面も行ってください。(各5~10回)
  6. 手術した側の手のひらを、指先から手首に向かって軽くさすります。手のひらが終わったら、手の甲側も行います。(各5~10回)
  7. 最後に6→5→4→3→2の順番で、手術していない側の脇の下に戻るようにマッサージしてください。

下肢のマッサージ

次に、下肢のマッサージ方法を紹介します。下肢のマッサージも、上肢同様に軽い準備体操をしてから始めてください。このマッサージは、浮腫みがある側(左右どちらか)の部位に対して行います。

  1. 脇の下に手を当て、円を描くように回します。(20回)
  2. 腰から体側を通り、脇の下まで軽くさすります。(10回)
  3. 腰骨に向かって、お尻を軽くさすります。(10回)
  4. 膝からお尻の横側に向かって、太ももを軽くさすります。太ももの外側・内側・後ろ側も行います。(各5~10回)
  5. 膝の前・内側・外側・くぼみを、身体の上に向かって軽くさすります。(各5~10回)
  6. 足首から膝に向かって、脛を軽くさすります。(5~10回)
  7. 足首から膝裏に向かって、ふくらはぎを軽くさすります。(5~10回)
  8. 内・外くるぶしの周りを、円を描くようにさすります。(各5~10回)
  9. つま先から足首に向かって、足の甲と裏を軽くさすります。(各5~10回)
  10. 最後に9→8→7→6→5→4→3→2の順で、脇の下に戻るようにマッサージしてください。

下肢のリンパ浮腫は、脚の付け根にあるリンパ節を切除することで発症します。子宮がんや卵巣がん、前立腺がんの手術後に発症することが多いです。

上記のマッサージにより、リンパ液を正常なリンパ節まで誘導することができます。左右どちら側がむくみやすいかわからない場合、医師に相談してからマッサージしましょう。

マッサージ以外でできること

ウォーキングする夫婦

普段の生活の中でどれだけ気をつけていても、発症を完璧に防ぐことはできません。しかし、マッサージ以外にもリンパ浮腫の発症リスクを低下させる予防法があります。普段の生活の中で、気をつけたいポイントは5つあります。ひとつずつ確認していきましょう。

適度な運動

普段の生活に、適度な運動を取り入れましょう。激しい運動ではなく、疲れすぎない程度の運動が効果的です。股関節回しやスクワットなど、室内での軽い運動で十分です。また、弾性ストッキングで患部を圧迫した状態での運動も推奨されています。

長時間入浴しない

長時間の入浴は避けましょう。身体を温めすぎると、浮腫みが悪化することがあります。入浴後に患部が赤くなっている場合は、濡れタオルなどで冷やしてください。

腕や脚を少し高くして寝る

就寝時は、腕や脚を少し高くして寝ましょう。10㎝程度高くすることで、むくみが軽減します。クッションや枕などを活用してください。

同じ姿勢を取り続けないようにする

長時間同じ姿勢を取り続けないよう、注意してください。立ち仕事の方は、合間にスクワットやつま先立ちをしましょう。座り仕事の方は、脚を乗せる台を置いて脚の位置を高くしてください。

きつい靴は履かない

きつい靴を履かないように、気をつけましょう。きつい靴を無理に履くことで、さらに浮腫みを悪化させてしまいます。ゆとりのある幅で、足首も締め付けがない靴を選びましょう。

リンパ浮腫の検診は銀座リプロ外科へ

銀座リプロ外科

今回はリンパ浮腫の効果的なマッサージと、セルフケアの方法について紹介しました。

銀座リプロ外科では、リンパ浮腫の診察と治療を行っており、患者様からリンパ浮腫の症状や治療に関する多くのご相談をいただいています。
とくに弾性ストッキングは圧迫圧があり、しびれや痛みを訴える方も多くいらっしゃいます。このような症状は、サイズが合っていない場合がほとんどです。しびれや痛みを放置するとリンパ液の流れが滞り、浮腫みが悪化してしまいます。

当院では、完全オーダーメイドの弾性ストッキングを提供しています。サイズが合っていないと感じたり、しびれや痛みを感じたりする場合は、お気軽に当院へご相談ください。

また、通院が必要である用手的リンパドレナージは、多くのリンパ浮腫の患者様が負担に感じている治療のひとつです。

当院では、自宅でも継続できる「銀座リプロ式リンパドレナージ」を行っています。マッサージのような気持ちよさはもちろん、リンパ浮腫の改善効果もあります。

リンパ浮腫は、早期発見と早期治療が重要なカギです。また、発見後の治療では保存的治療と外科的治療を組み合わせ、浮腫みの悪化を防いでいきます。当院ではリンパ管静脈吻合術(LVA)といった、高度な技術を中心に治療を進めます。

リンパ浮腫でお悩みの方や、浮腫みに違和感を覚える方は、銀座リプロ外科へご相談ください。