不妊治療と聞くと、女性が受けるものと思う方も少なくないでしょう。
しかし、実際は、男性側に原因がある割合が約50%といわれます。不妊治療を考える際に、不妊の原因がないかを早期発見・早期治療することは女性だけでなく男性にも重要なのです。
今回は、男性不妊症の原因と、検査や治療方法について詳しく解説します。
男性不妊症とは
不妊とは、WHOで「1年間の不妊期間を持つもの」と定義されており、その原因が男性側にもある場合を「男性不妊症」と言います。
1人目は問題なく妊娠・出産した場合であっても、2人目以降が不妊になることもあります。さらに、症状がわかりにくく、発見が遅れてしまうケースが多いのが現状です。多くの場合、自然治癒することは、ほぼありません。病院で治療をする必要があります。
では、男性不妊症は、なぜ起こるのでしょうか。
男性不妊症の原因
男性不妊症の主な原因は、大きく次の3つに分けられます。
- 勃起・射精ができない
- 精子をつくる機能が低下
- 精子の通り道が詰まっている
それぞれ詳しく解説していきます。
勃起・射精ができない
勃起ができない状態を「勃起障害」、勃起ができても射精ができない状態を「射精障害」といいます。どちらも性機能障害の1つで、年々罹患者が増えています。
射精をするためには、脳や神経などの機能が複雑に関わっているため、どこか1箇所でも問題を起こすと射精障害を起こしてしまいます。治療方法としては、薬物療法や行動療法などで完治が可能な場合があります。
精子をつくる機能が低下
勃起や射精が出来ても、精液の中に含まれている精子が少ない、もしくは含まれていない状態を造精機能障害と言います。精子がまったく含まれなくなることを「無精子症」、少ない状態を「乏精子症」、精子の動きが悪い状態を「精子無力症」といいます。
精子は精巣内で作られますが、何らかの原因で精子を作る機能が低下や異常を起こすことがあります。精子を作る機能が低下や異常を起こすと、精子が作られなくなるだけでなく、奇形の精子が作られやすくなり、流産や死産の危険性が高まります。
原因としては、遺伝子やホルモンの異常、精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)などの病的要因です。
精索静脈瘤とは精巣表面の静脈の血流が滞り、逆流し、瘤(こぶ)が出来てしまう疾患です。男性不妊症の約30%を占めています。静脈瘤ができると、精巣内の温度が上昇したり、低酸素状態になったりすることで、精子を作る機能が著しく低下します。
自然治癒することはないため、薬物療法や手術による治療が必要となります。
精子の通り道が詰まっている
精子をつくる機能に問題はなくとも、何らかの原因で精液の通り道がふさがれている、もしくは狭くなってしまい、精液に精子がほとんど含まれなくなることを精路通過障害といいます。
痛みなどの自覚症状はほとんどなく、射精後の精液の量が少なく感じた場合、精路通過障害の可能性があります。原因としては、先天性のもの以外に、外傷、尿道炎のような病的な要因も考えられます。自覚症状がほぼないため、発見が遅れてしまう疾患の1つです。
以上のように、男性不妊症といっても、原因はさまざまです。何が原因であるかを特定するためには、綿密な検査を行う必要があります。
では、男性不妊症の検査には、どのようなものがあるのでしょうか。
男性不妊症の検査方法
男性不妊症の検査項目としては、精液検査とそれ以外の検査方法に分けられます。精液検査とは、精液をカップに採取し、精液量、精子の動き、数、形などを顕微鏡で確認する方法です。
詳しい検査方法は、下記の銀座リプロ外科のページをご覧ください。
※銀座リプロ外科では高い専門性と技術を用いた外科手術を中心に行っているため、精液検査は行っておりません。
精液検査以外の検査は、以下の通りです。
超音波検査
超音波検査とは、エコー検査とも呼ばれ、精巣の大きさや状態、精索静脈瘤の有無を調べます。この時、あわせて触診や視診も行います。
血液検査
血液検査では、主にホルモンの状態を調べます。
精子はホルモンの指令によって精巣で生産されており、ホルモンのバランスが崩れていると、精子をつくる働きに支障が出るためです。
また、射精障害のような性機能障害もホルモンの働きが関わってくるため、原因を調べるうえで必須の検査です。
性感染症検査
男性不妊症の原因と言われる性感染症は、主に淋病やクラミジア感染症です。
感染すると、かゆみなどの尿道炎を起こしますが、症状が一旦落ち着いたように見えても、病院での治療を行わない限り完治することはありません。
症状を放置し進行してしまうと、精巣上体炎を引き起こします。精巣上体炎になってしまうと、最悪の場合、完治しても精子の通路が塞さがれたままとなり、精路通過障害を起こし、無精子症となります。
これらの感染症は、男性への被害だけでなく女性へも感染するため、妊娠につながっても早産・流産を引き起こす可能性が高くなります。
男性不妊症の治療法
男性不妊症の原因は、先天性の物から外的要因、病的要因など、さまざまであることをご紹介しました。
これらの原因を改善するために、治療方法も複数あります。大きく分けると根本的治療、補助的療法、対症療法の3つです。
しかし、原因によっては受けられない治療方法もあります。
例えば、精索静脈瘤、性機能障害、精路通過障害、ホルモン異常などは、根本的治療は可能ですが、原因不明なものや染色体・遺伝子異常などは根本的治療を受けることはできません。
各治療方法にはどのようなものがあるかを、詳しく解説していきます。
根本的治療
根本的治療には、以下のような手術が含まれます。
- 精索静脈瘤手術(顕微鏡下精索静脈瘤手術・ナガオメソッド)
- 精路再建手術
- 低コナドトロピン性性腺機能低下症治療
中でも精索静脈瘤手術(ナガオメソッド)は、唯一生殖機能を改善させる方法です。
ナガオメソッドとは、従来の精索静脈瘤手術とは違い、神経やリンパ管、動脈など必要なものを全て残し、逆流静脈だけを結紮・切離する手術方法です。
再発率が0.5%と少なく、精液所見の改善も87%と高く魅力的な手術方法ですが、極めて高い技術が必要となるため、通常の泌尿器科では受けることはできません。
当院では、ナガオメソッドを行える全国唯一の病院ですので、詳しい情報はこちらをご確認ください。
補助的療法
補助的療法とは、サプリメントや漢方薬、ホルモン薬などで改善を促す治療方法です。
原因によっては改善する可能性はありますが、不変的であり、効果は個人差があります。
医学的根拠が低いため、他の治療と併用して行うことが一般的です。
対症療法
対症療法とは、不妊症の治療を行わず、人工授精などで妊娠の確率を上げる方法です。
この方法は、あくまで精液所見が良好な場合に選択される場合が多いため、精索静脈瘤の有無や精液検査などをしっかりと行ってから選択することをおすすめします。精索静脈瘤などが原因で精子がダメージを受け、奇形精子が多い場合、流産や死産のリスクが高くなるためです。
また、精巣内精子採取術(TESE)という、精巣から直接精子を取り出す方法もありますが、生殖機能を低下させる可能性があるため、選択は慎重に行う必要があります。
精索静脈瘤の検診は銀座リプロ外科へ
今回は、男性不妊症の原因と検査方法や治療方法について解説しました。
男性不妊症の改善には、病院による治療が不可欠であることをお伝えしましたが、中でも根本的治療でご紹介したナガオメソッドは、とても高い技術と経験が必要なため、通常の泌尿器科では受けることができません。
当院は、スーパーマイクロサージャンと呼ばれる高い技術力を持つ術者が在籍し、全国で唯一ナガオメソッドの治療を受けることが可能な病院です。
ナガオメソッドは、再発率0.5%を誇るだけでなく、局所麻酔のため日帰り手術が可能であり、お仕事で忙しい方でも負担がとても少ない治療法です。そのため、ナガオメソッドの治療について、全国から多数お問い合わせをいただいております。
当院はオンライン診療も受け付けております。
より確実な不妊治療と、パートナーの負担を減らすためにも、ぜひ1度、銀座リプロ外科にご相談ください。