男性不妊の原因となる精索静脈瘤は、根治するためには外科手術が必要です。しかし、術式や費用などもさまざまで、どのクリニックが良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
インターネットで調べると、精索静脈瘤の予後や合併症、再発率など、心配になるような言葉が並んでいます。
精索静脈瘤ができる場所は、精巣周辺の陰嚢部です。精巣周辺には、動脈やリンパ管、神経など、身体にとって重要な役割を担う組織が多く集まっています。精索静脈瘤の術式によっては、これらの組織が損傷を受ける可能性もあり、術後の合併症が心配です。
しかし、事前のクリニック選びで、これらのリスクを最小限に抑えることができます。今回は、精索静脈瘤治療で失敗しない、クリニックの選び方についてご紹介します。
精索静脈瘤とは
精索静脈瘤とは、精索にある静脈が、拡張して瘤(こぶ)になることで起こります。精索とは、精巣の上側に繋がっている管のことです。精索の管は束状になっており、精管や血管(動脈・静脈)、神経、リンパ管から構成されています。
精索の中にある静脈のことを、精索静脈と呼びます。この静脈は、精巣から心臓へ血液を戻す役割があり、弁が心臓に向かって血液を流しています。
通常は血液が逆流することはありませんが、この弁が上手く機能せず、血液が逆流することがあります。その場合、静脈が蛇行・拡張してしまいます。この状態が精索静脈瘤です。
精索静脈瘤は、約10~20%の男性が発症し、男性不妊の原因でもあります。発症しても自覚症状がないことがほとんどですが、まれに痛みを感じる方もいます。
もし、陰嚢の大きさに左右差があったり、気温に関わらず陰嚢が常に垂れさがっていたりすると、精索静脈瘤の可能性も。気になることがあれば、早めに専門医に相談しましょう。
先述したとおり、精索静脈瘤は男性不妊の原因のひとつです。静脈内の血液が逆流することで、造精機能(精子を作る機能)や精子機能(精子の質)の悪化につながります。
血液が逆流すると、まず精巣内の温度が上昇し、精巣内に老化の原因となる活性酸素や、老廃物が増加します。そして、血行障害により精巣内が低酸素状態に陥るのです。
精巣内が低酸素状態になると、造精機能や精子機能が低下し、精子の数が少なくなったり、動きの悪い精子が増えたりします。また、男性のDNAが入っている精子頭部に、損傷を受けた精子が多くなります。
精索静脈瘤は進行性の病気です。しかし、早期受診と適切な治療によって、根治することが可能です。次に、精索静脈瘤の治療で期待できる効果について、確認していきましょう。
精索静脈瘤治療で期待できる効果
精索静脈瘤の治療は、根治療法として外科手術が推奨されます。また、手術以外の治療方法としては、抗酸化剤のサプリメントも一定の効果が確認されました。サプリメントの例としては、漢方薬やコエンザイムQ10が挙げられます。
しかし、サプリメントの服用は、根治を目指すものではありません。精子濃度や運動率の改善に一定の効果を認めたものであり、手術回避のためや、精液所見が正常に近い方に適しています。手術と併用し、改善を早める手段としても使われます。
夫婦の年齢や、精液所見の結果などを踏まえ、医師と相談して治療方針を決めていきましょう。
精索静脈瘤を治療するメリット・デメリット
精索静脈瘤は、治療することで根治が望めます。しかし、治療にはメリットもあれば、デメリットもあります。不妊の原因を取り除きたい、または病気そのものの痛みから解放されたいなど、治療を検討する理由はそれぞれ異なります。
また、ご自身が治療する目的によって、メリットとデメリットの大きさも異なります。メリットとデメリットを比較して、ぜひ治療を検討する判断材料にしてください。
メリット
精索静脈瘤を治療するメリットは、以下があります。
自然妊娠が期待できる
精索静脈瘤を治療することで、自然妊娠が期待できます。女性側に不妊治療の必要がなければ、精索静脈瘤の手術後は、自然妊娠できる可能性があります。
また、一度手術を受けることで根治が望めるため、二人目、三人目も自然妊娠で授かる可能性が高くなります。
不妊治療のストレスから解放される
不妊治療で体外受精が必要だった方が、治療後は人工授精までステップダウンできた例があります。
体外受精は、ご夫婦に多大なストレスがかかります。しかし、人工授精までステップダウンできれば、費用面や生活面でも気持ちにゆとりができるでしょう。
デメリット
精索静脈瘤を治療するデメリットは、以下があります。
再発する可能性がある
精索静脈瘤の手術後に、再発する可能性が否定できません。精索静脈瘤の術式は、クリニックによって異なります。そして、術式によって、再発率や合併症の確率もさまざまです。
しかし、一般的に手術後の再発率を0%にすることは難しくても、極めて低い再発率の術式を選択することは可能です。事前にクリニックを下調べして、術式や再発率について調べておくと良いでしょう。
合併症の可能性がある
手術中に動脈やリンパ、神経組織などを傷つけることで、合併症を引き起こす可能性があります。
精索静脈瘤の手術は、執刀医の高度な技術が必要です。不慣れな医師が執刀することで、合併症などの危険性が高くなります。
合併症には、精巣血流障害や精巣機能低下、陰嚢水腫などがあります。ホームページなどで、術後の再発率や合併症について公開しているクリニックが安心です。
精索静脈瘤治療のクリニックの選び方
精索静脈瘤の手術は、泌尿器科を専門とするクリニックで受けられます。精索静脈瘤の手術ができるクリニックも、少しずつ増えてきています。しかし、専門性や知識などは、医師によって大きなバラつきがあるのが現状です。
泌尿器科の医師だから安心、というわけにはいかないのです。どの手術でも同様ですが、その病気に対する医師の専門知識がなければ、適切な治療が受けられません。
では、どうやってクリニックを選べばいいのでしょうか?精索静脈瘤の治療が受けられる、クリニックの選び方について紹介します。
治療の術式が自分に合っているかどうか
まず、治療の術式が自分に合っているかどうか、確認することが大切です。
術式には腹腔鏡手術や顕微鏡下低位結紮術など、クリニックによって受けられる術式が異なります。そのクリニックのホームページなどを確認し、術式や症例数を確認しておきましょう。手術費用や保険適応の有無も、参考として調べておくといいでしょう。
精索静脈瘤の手術では、リンパ管や動脈などの周辺組織をどれだけ温存できるかが、とても重要です。特に、男性不妊のために手術をする場合は、精巣機能の改善が治療目的となります。
しかし、術式や医師の経験によっては、周辺の動脈やリンパ管などを犠牲にしてしまうこともあります。例として、動脈損傷が起こると血流障害が起きるため、精巣機能は改善しません。
費用や通院の手軽さだけで術式を選ぶと、ご自身の目的から外れた治療結果になる可能性があります。治療の目的や希望に合ったクリニックを選びましょう。
男性不妊の専門医かどうか
手術を担当する執刀医が、男性不妊の専門医であるかどうかも確認しておきましょう。
精索静脈瘤は、疾患の部位からみると泌尿器科の領域です。しかし、男性不妊の場合は、精巣機能の改善が手術の目的となります。「男性不妊」や「生殖医療」を専門とする医師に手術してもらいましょう。
泌尿器科の医師であっても、男性不妊を専門としない医師がほとんどです。精巣機能の改善が望めない術式を勧められるなど、かえって男性不妊の症状を悪化させてしまう恐れがあります。
実績豊富で信頼できる先生かどうか
実績豊富で信頼できる先生かどうかも重要です。
執刀医の実績や症例の多さ、術後の経過など、気になることはすべて質問しましょう。そのときに、医師が誠実に詳しく説明をしてくれるのかがポイントです。もちろん、ご自身でも病気のことや術式、そのクリニックの情報は調べておきましょう。
ご自身に合うクリニックを選ぶことは、ときには大変なこともあるかもしれません。しかし、外科手術などの身体にメスを入れる治療は、事前の下調べや情報収集が今後に大きく影響します。
各クリニックをインターネットで調べ、男性不妊や生殖医療を専門とするクリニックを探しましょう。各クリニックの術式や症例数、実績を調べてください。調べたクリニックのうち、ご自身の治療目的に合うクリニックを受診してみるといいでしょう。
きっと、ご自身に合うクリニックを見つけられるはずです。
精索静脈瘤の検診は銀座リプロ外科へ
精索静脈瘤の検診は、銀座リプロ外科をご検討ください。当院での精索静脈瘤手術の月間症例数は80例、年間で約1,000例と、症例数の規模が大きいクリニックです。
当院には永尾医師をはじめ、精索静脈瘤に精通した医師が在籍しています。永尾医師は、ナガオメソッド(日帰り顯微鏡下低位結紮術)を確立し、約20年の期間で9,000例の執刀に携わってきました。男性不妊に悩む多くの患者様から、高い信頼と評価を得ています。
また、ナガオメソッドは高い技術と経験が必要で、手術を受けられるのは全国で当院のみです。通常の泌尿器科では受けられない手術のため、全国から多数お問合せをいただいております。
当院では、遠方ですぐに受診できない方のために、オンライン診療も実施しております。ご自身のお住まいに専門医がいない方や、来院すべきか悩んでいる方など、気になることがあればお気軽にご予約ください。